特別国会で行われた高市さんの施政方針演説。原稿は約34ページ。官僚の叩き台はあったものの、公邸にこもって自らほぼ全文を書き直したという異例の熱量が注がれました。
ところが、大手メディアの報道だけを見ていると、その本質はなかなか伝わってきません。なぜ演説時間の半分近くが経済財政政策に充てられたのか。そこには、日本経済の現実を冷静に見つめ直し、未来を設計し直そうとする強い意志がありました。
今回は、そのポイントをわかりやすく整理していきます。
「投資」を24回繰り返した理由
今回の演説で象徴的だったのは、「投資」という言葉が24回も登場したことです。
これは単なるスローガンではありません。「日本列島を強く、豊かにする」という明確な戦略の表れです。
高市さんは投資を大きく2つに分けています。
一つは成長戦略投資。日本経済を再び成長軌道に乗せ、富を生み出すための攻めの投資です。
もう一つは危機管理投資。災害や地政学リスクから国民の命と暮らしを守るための守りの投資です。
攻めと守りを同時に進めることで、単なる景気対策ではなく、国家の基盤そのものを再構築する。それが狙いです。バラマキとの批判を恐れるのではなく、将来の成長と安全のために、今こそ資金を投じるべきだという強いメッセージが込められています。
「トントン経済」という数字の落とし穴
一部のメディアや経済学者は、「日本は供給能力と総需要がほぼ均衡している。だから大規模な財政出動は不要だ」と主張します。
しかし高市さんは、この“マクロ平均”の見方に疑問を投げかけました。
問題は、日本経済の二極化です。
大企業や大都市、輸出関連産業はすでにデフレを抜け、成長の軌道に入っています。一方で、中小・零細企業や地方経済、内需型産業は依然として厳しい状況にあります。
全体平均で「トントン」に見えても、実際には地域や業種によって大きな格差があるのです。
だからこそ、農林水産業への投資や食料安全保障の強化が強調されました。農家が自立し、農地を最大限活用できる環境を整えることで、日本経済の裾野を広げる。これは単なる業界支援ではなく、経済構造の歪みを正す戦略でもあります。
企業の黒字は本当に健全なのか
多くの報道では、「日本企業は長期にわたって貯蓄超過で健全だ」と語られます。
しかし高市さんは、それをむしろ異常事態だと捉えています。
本来、成長を目指す企業は外部から資金を調達し、それを設備投資や雇用に回します。一時的に赤字になってでも、将来の利益を生むための種まきをするのが健全な姿です。
ところが今は、その種まきをせず、内部に資金をため込む企業が多い。これは将来の供給能力不足につながります。
もし需要が急回復しても、生産体制が整っていなければ、供給が追いつきません。その結果、物価だけが上昇する可能性があります。慌てて設備投資を始めても、工場や人材育成には時間がかかります。
だからこそ、今のうちに投資を促し、供給能力を高めておく必要がある。これが高市さんの強い主張です。
昭和100年から逆算する「22世紀の日本」
高市さんが見据えているのは、目先の数年ではありません。
まもなく迎える昭和100年。その先にある22世紀です。今年生まれた子どもたちが大人になり、社会の中心を担う時代を想定しています。
そのために掲げたのが、「経済の強化」と「憲法改正」を国家の両輪とする考え方です。
強い経済は、豊かで安全な暮らしを支える土台です。
憲法改正は、現代にふさわしい国家像を描き、自立した意思を世界に示すための枠組みです。
この2つは別々のテーマではなく、未来の日本を支える一体の構想だという位置づけです。守りに徹するだけの政治ではなく、次世代に責任を持つ挑戦型の政治を選ぶべきだというメッセージが込められています。
私たちは「守り」か「挑戦」か
今回の施政方針演説は、単なる政策の羅列ではありませんでした。
日本経済の二極化や供給能力不足という課題を直視し、未来への投資を宣言する内容でした。
このまま縮小均衡の中で守り続けるのか。それともリスクを取りながら挑戦するのか。
最終的に選択するのは、私たち自身です。
報道の断片だけで判断するのではなく、ぜひ演説全文にも目を通してみてください。そこには、22世紀を見据えた一つの国家設計図が示されています。



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