日本政治の静かな“地殻変動”を読み解く
発足直後から支持率71%という驚きの数字を叩き出した高市新内閣。
しかし、この支持の背景には、単なる「人気」では片づけられない深い理由があるようです。
26年続いた公明党との連立が解消され、日本維新の会との新たな連携が始まる――。
それはまるで、日本の政治が“静かに動き出した瞬間”のようにも見えます。
今回は、専門家の分析をもとに、この転換点を「5つの意外な真相」から読み解いていきましょう。

「すがすがしい」新内閣の誕生—公明党との決別が歓迎された理由
高市さんの新内閣について、作家の竹田恒泰さんは「すがすがしい」とコメントしました。
それもそのはず。26年ぶりに閣僚全員が自民党議員で構成されたのです。
世論調査でも「公明党との連立解消を評価する」と答えた人は66.2%。
長年の“政策的な縛り”から解放されたことへの安堵と期待が、国民の心に広がっています。
しかし、この決別は単なる感情論ではありません。
ジャーナリストの須田慎一郎さんによると、実は麻生太郎副総裁による綿密な戦略があったといいます。
麻生氏は、公明党が求めた協議要請にあえて「塩対応」を続け、公明党が自ら離脱を宣言せざるを得ないよう仕向けたのです。
その裏の狙いは――皇位継承問題など、日本の根幹に関わる議論を前に進めるための“環境整備”。
老練な政治家による、国家を見据えた一手だったのです。

女性首相誕生なのにフェミニストが喜ばない理由
日本初の女性総理・高市さん。
本来ならフェミニズム運動の人々が祝福してもおかしくない歴史的瞬間のはず。
ところが、現実はその逆。
フェミニストたちの多くは沈黙、もしくは批判的な態度を見せました。
竹田さんはこの現象をこう分析します。
「彼らは“女性なら誰でもいい”とは思っていない。高市さんが憲法改正や選択的夫婦別姓に否定的だからだ」と。
つまり、フェミニズムの理想よりも“自分たちの思想”を優先しているということ。
「女性の活躍」を掲げながら、実際には“思想が合う女性だけ”を認めていたという矛盾が露わになったのです。
女性総理という歴史的快挙が、かえって社会の価値観の偏りを映し出す鏡になったとも言えるでしょう。

「経済あっての財政」— 安倍路線の完全復活
高市さんが所信表明で掲げたキーワードは「経済あっての財政」。
この言葉、実は安倍晋三元首相が最初に使ったものです。
高市内閣は「安倍路線の継承と発展」を明確に打ち出しています。
それを象徴するのが、財務大臣に片山さつきさんを起用した人事です。
須田慎一郎さんによれば、片山さんはかつて財務省主計局で予算編成を担当していた人物。
つまり「財務省の手の内を熟知している」稀有な政治家なのです。
彼女の起用は、緊縮財政に傾きがちな官僚の抵抗を抑え、「責任ある積極財政」を進めるための布陣。
賃上げと成長を両立させる“強気の経済戦略”こそが、高市内閣の本丸です。

小泉進次郎・防衛大臣起用に隠された「育成の構想」
防衛大臣に小泉進次郎さん――この人事は、多くの人にとって驚きだったでしょう。
しかし、実はこれも緻密な計算のもとに行われた布石です。
竹田さんは「高市さんがキングメーカーになる可能性がある」と語ります。
つまり、将来の総理候補を見据えた“次世代育成プロジェクト”なのです。
小泉さんは弁舌が立ち、説明力がありますが、防衛や安全保障などの分野ではまだ経験が浅い。
このポストで国防の現場を知り、自らの言葉で語れる政治家に育てようという意図があるのです。
須田さんは「かつて小泉純一郎さんが安倍晋三さんを抜擢した歴史を思い出す」と指摘。
優れたリーダーは、自分の政権を超えて“未来の人材”を育てる――まさに政治家の王道と言えるでしょう。

「外国人政策担当大臣」新設に込められた狙い
今回の内閣で新設されたのが「外国人政策担当大臣」。
その任にあたるのは、小野田紀美さんです。
このポストが注目されるのは、「移民政策の見直し」という大きなテーマを掲げているから。
これまでの日本では、外国人労働者の受け入れが“なし崩し的”に進められてきました。
須田さんはこう語ります。
「日本は本当に移民が必要なのか――まずそこから議論を始めようという姿勢だ」と。
この見直しは、単なる社会政策ではなく“経済政策の中核”でもあります。
安易な労働力受け入れは賃上げの妨げとなり、デフレ脱却の足かせにもなってきました。
小野田大臣の役割は、国内の潜在労働力(たとえば103万円の壁撤廃など)を掘り起こし、
「日本人の雇用と賃上げ」を軸に据えた持続可能な経済構造を作ること。
つまり、移民政策を“経済の視点から問い直す”という極めて戦略的な転換なのです。

高市内閣が投げかける「未来への問い」
自民党単独政権のすがすがしさ、安倍路線の再起動、次世代リーダーの育成、そして移民政策の見直し。
この5つの真相をたどると、高市内閣の船出は「単なる支持率の高さ」では説明できません。
それは、日本の政治の原点を問い直し、新しい時代の方向性を示す挑戦でもあります。
この原点回帰が“日本再生の起爆剤”となるのか。
あるいは、旧来の勢力の反発に押し戻されるのか。
――高市内閣の真価が問われるのは、まさにこれからです。



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