「夫婦別姓」より“現実的な幸せ”を。高市早苗が示す「旧姓活用」という解決策とは?

早苗ビジョン

結婚して名字が変わることに「ちょっと不便だな」と感じたことがある人は多いと思います。
でも、その不便さを理由に、法律そのものを大きく変えていいのか——。

高市さんは、「夫婦同姓」という日本の家族制度を大切にしつつ、現実に困っている人には“別の解決策”を提案しています。
それが「旧姓の通称使用を広げる」という方法です。

現行制度を守りながら、不便を減らすという考え方

高市さんの基本スタンスはシンプルです。

「家族の一体感を保つために“夫婦同じ姓”は守る。でも、名字が変わることで困る人には“旧姓を使いやすくする”ことで対応する。」

つまり、法律を大きく変えるのではなく、現実に合った柔軟な対応で不便をなくしていこう、ということ。
社会の安定を守りながら、個々の事情にも寄り添うバランス重視のアプローチです。

「夫婦別姓」に法改正が必要?立法事実が見えない現実

法律を変えるには、「なぜ変えるのか」という理由(立法事実)が必要です。
でも、高市さんが指摘するのは「その根拠があまりに弱い」という点。

たとえば、これまでに政府は旧姓の通称使用を広げる施策を進めてきました。
今では、次のような場面で旧姓が使えます。

  • 国家資格
  • 銀行口座
  • パスポートへの旧姓併記

つまり「旧姓が使えないから困る」という声の多くは、すでに解消されているのです。

実際に困っている人はどのくらい?

選択的夫婦別性推進派は「まだ困っている人がいる」と言いますが、統計的に見ると対象はごく一部。

海外出張などで名字の違いに不便を感じる可能性がある女性は、全体でおよそ4万人程度と試算されています。
もちろん無視できる数ではありませんが、「社会の基礎を変えるほどの理由にはならない」というのが高市さんの主張です。

「不便」から「アイデンティティ」へ──論点のすり替え?

議論が進む中で、賛成派の主張は「不便だから」から「自分らしさの問題(アイデンティティ)」へと変わっていきました。
しかし、この「感覚的な議論」こそが問題を曖昧にしていると高市さんは考えています。

制度を変える理由は、客観的で検証できる事実に基づくべき。
“気持ち”だけでは法律を動かす根拠にはならない——という冷静な視点です。

社会全体に及ぶ「夫婦別姓」導入の影響

高市さんは、「夫婦別姓の導入はコストが大きすぎる」と警鐘を鳴らします。

経済的・事務的な負担

全国の行政機関や企業のシステム変更に数千億円規模の費用がかかるとされ、現場の事務負担も増大します。

家族の一体感の喪失

「磯野家」「山田家」といった“家族を象徴する呼び名”がなくなり、文化的なつながりも薄れてしまう懸念があります。

結婚へのハードル上昇

「同姓にする?別姓にする?」という新たな議論が、カップルにとって心理的な負担になる可能性も。
結果として、婚姻数が減る=少子化につながるのではないかという指摘もあります。

子どもの視点が抜け落ちている

アンケートでは、約8割の子どもが「家族が違う名字になるのは嫌だ」と回答
「親の選択の自由」の陰で、子どもの気持ちが置き去りにされている点も見逃せません。

世論調査にも“聞き方の罠”がある

「夫婦別姓に賛成が6割」という調査結果もよく見かけますが、実は質問の仕方で結果は大きく変わります。

「自由に選べるようにしますか?」と聞かれれば肯定的に答える人は多いものの、
「現行の制度のままでいいですか?」を選択肢に入れると、賛成は3割以下に減少

つまり、数字だけを見て「国民の大多数が賛成」と断じるのは早計なのです。

「夫婦同姓」は日本の伝統に根ざした仕組み

「昔の日本は夫婦別姓だった」と言われますが、それは事実の一部に過ぎません。
江戸時代でも、寺の過去帳や墓石には“家”の名前が残っており、家族単位の絆が文化として根付いていました。

明治の民法で「夫婦同姓」が定められたのは、そうした日本独自の家族観を近代法の形に整えた結果。
伝統に反するどころか、むしろ“日本的な絆”を守る仕組みだったのです。

現実的な解決策は「旧姓使用の法制化」

高市さんが提案するのは、「民法そのものは変えず、旧姓使用を法律でしっかり認める」こと。

いわば“維新案”とも呼ばれるこの方法には次のような利点があります。

  • パスポートなどの不便がすぐに解消できる
  • 家族制度を壊さずに済む
  • 社会的コストを最小限に抑えられる

大がかりな法改正ではなく、戸籍法や国会決議で対応するという、現実的で穏やかな解決策です。

結論:変えるべきは法律ではなく、仕組みの使い方

高市さんの主張は、単なる「反対」ではありません。
不便を感じる人に寄り添いながら、家族のつながりや日本の伝統を守るための“具体的な提案”です。

「家族法は、流行りで変えてはいけない。伝統の上に慎重に築くもの。」

この言葉どおり、今必要なのは“急進的な改革”ではなく“実務的な知恵”。
旧姓使用の法制化こそ、現代社会にふさわしい冷静で優しい解決策ではないでしょうか。

まとめ

高市さんは「夫婦同姓」を維持しつつ、旧姓使用の拡充で現実の不便を解消する方針です。

  • 「夫婦別姓」を導入するだけの明確な立法事実は存在しない。
  • 制度改正には莫大なコストと文化的リスクが伴う。
  • 解決策は、民法改正ではなく「旧姓使用の法制化」。

個人的には、選択的夫婦別性については、「なんでわざわざ煩雑になるようなことをするの?」というのが率直な感想です。不便さがあるなら、それを解決する方法を作りましょうという高市さんの解決策には賛成です。

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